ABOUT
Sustainable Experience Design Lab (SXD Lab) は、持続可能かつ再生型の社会の実現のために、市民一人ひとりの暮らしや行動の変容を生み出す、エクスペリエンスデザインの可能性を探るラボです。
気候変動や、生物多様性の喪失、限られた資源を巡る紛争など、世界における環境・社会的な危機は年々深刻化し、私たちはこの危機を乗り越えられるかどうかの大事な岐路に立っています。こうした状況において、産業システム側の対応だけでなく、暮らしや生活者側での変革が求められる中、UXや体験デザインはどのような役割を果たしていくことができるのでしょうか。「提供者ー消費者」「作り手ー使い手」といった従来の硬直的な関係だけでなく、一人ひとりの暮らし・行動の変容が促されていくような、より包括的で深いレベルでのトランジションはどのように起こしうるのでしょうか。本ラボでは、産官学民の多様な立場の探索メンバーと共に「サステナビリティやリジェネレーションを取り巻く価値観や行動変容」を生み出す体験デザインの可能性を探ります。
- サステナビリティの実現に向けた暮らしや生活者視点からの探索
- 行動や意識の変容を促す体験デザインへの着眼と拡張
- 従来の価値観・世界観に捉われない領域横断型での探索
EXPLORATION GUIDES
探索のための3つのガイド
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マテリアル×SXD
めぐりながれるもののデザイン
- 人も自然界の物質循環の環の中に還っていくための体験や プロダクト・サービスのデザインとは?
- 販売して終わりではなく、循環を念頭に置いたプロダクトや 循環を支えるエコシステムのデザインとは?
- マテリアルや素材として人間存在を捉え直すことで、 いかにデザインアプローチをアップデートすることができるだろうか? その際のHCDとは?
- モノとのケア関係を育んでいくための体験デザインとは?
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デジタル×SXD
デジタル世界における体験デザインの可能性
- デジタルの世界において変容体験はどのようにデザインされるか?
- テクノロジー(道具)との距離感、関係性の再定義を促すUXとは?
- 生態学や生命論的パラダイムをベースにした時、テクノロジーの開発、利用のあり方は、どのように更新されるだろうか?
- 他種(土・虫など、)の環世界に繋がるセンサーとしてのテクノロジーのあり方とは?
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コモンズ×SXD
私たちの場所を私たちでケアする自治=自律のためのデザイン
- 政府に全てを任せるのではなく、自分達が自発的に管理、ガバナンスに関わる領域はどのように獲得され得るか。疲弊せずに、持続的にその管理を担うには、どのような仕組みや環境が必要か?
- 個別所有の概念を超え、“私たち”の共有財産を“私たち”でケアし続けたくなる状態を体験を通じて作ることはできないだろうか?
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ナラティブ×SXD
在りたい私たちへと導く文脈や言葉のデザイン
- 動的な表現やオノマトペが呼び起こす身体感覚に紐づいた言葉で、ものの状態を指し示すあいだの言葉を作れないだろうか?
- サステナビリティを取り巻く情報が溢れる中で、私たちはどのようなナラティブを紡いでいく必要があるのだろうか?
- 「サステナブル」などのカタカナ言葉を、多様な世代に通ずる、日本の風土にあった言葉に翻訳できないだろうか?
- 遊びや楽しさ、喜びに根ざした体験デザインやそれを通じた行動変容のアプローチをどのように活かし、応用していくことができるだろうか?
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身体性×SXD
失われた身体知性の回復と拡張を促すデザイン
- AIやロボティクスによって拡張される身体性はどこに向かうべきか?
- 各々の環世界(主体的に構築する独自の世界)で生じる身体感覚をどのように、外界(客観的な世界)に開き他者と共有していくことができるのか?
- 身体を通じた世界との有機的な関わり合いの中から生まれる創造的な学び方を実践することができないだろうか?
- 古来からの伝統知や生活実践に宿る身体知性から我々は何を学び、いかに未来へと紡ぎなおすことができるのか? (Cf.またぎ、狩猟採集文化)
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場・空間×SXD
東洋的なあわいの場・間・インフラから立ち上がるデザイン
- 人と自然を切り離さない、非二元論的・アニミズム的世界観におけるUXとはいかなるものか?自他非分離のフィールド(場)へといざなうような体験はいかにして実現可能なのか? (Cf.神社のXD)
- 日本的な場・しつらえにおけるUXとはいかなるものか?それらから学び、動的・刹那的な身体実感と再現性を両立させる強度あるUXをつくるには?
- 人智を超えた超越性や信仰、自然界への畏怖畏敬、多種が絡まり合うマルチスピーシーズインフラストラクチャーにひらかれたUXデザインやプロセスを実現していくためには?
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多元性×SXD
複数の環世界をつなぐあいだのデザイン
- わかりやすさや効率性がどうしても重視されてしまうビジネス界において、安易に単純化せずに、複雑なものを複雑なまま扱う姿勢や環境はどうつくられ得るか?
- マルチアクタントな世界観における、あるいは複数の環世界をまたぐカスタマージャーニーやデザインアプローチとは?
- 価値の多元性を保持した、分断を生まない体験デザインとは?
- 複雑な世界に複雑なまま向き合っていくための体験デザインとは?
01
INSPIRATION DYNAMICS
インスピレーション ダイナミクス
02
EXPLORATION PROCESS
探索プロセス
思考
の層
身体
の層
全体性
の層
inner
outer
-
Prototyping
表現する
-
Self-
Perception自分を理解する
-
System-
Thinkingつながりを
思考する -
Self-Awareness
内なる感覚を
自覚する -
System-
Awareness取り巻くシステムを
感受する -
Ecological-
Awareness内と外の再統合
03
DESIGN ATTITUDES
デザイン態度
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変容可能性にひらく
体験デザインとは、デザイナー自身の変容と共に、他者の態度や行動の変容可能性にひらかれた行為である。変容のプロセスで出会う新たな自分や他者との相互作用の中で探索する。
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複雑さにとどまる
様々な存在や事象が絡まり合う多種多元的な世界の複雑さを受け止め、安易に単純化したり、即時的な解決を求めることなく、混沌やわからなさにとどまることをゆるす。
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楽しさ・喜びからはじめる
環境危機や社会課題に義務感のみからアプローチするのではなく、人として生きる喜びや創造性を取り戻し、遊びや楽しさの中で生まれていくようなデザインアプローチを模索する。
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集合的に創発する
全体計画を実現するためのトップダウン型の体験デザインではなく、一人ひとりの行動や態度変容をもたらす体験が相互作用するような、集合的かつ創発的なトランジションの可能性を模索する。
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共につくる
思考や言葉の領域だけでなくフィールドに出て身体実感を深めることや他者と共につくる行為を大事にする。「提供者ー消費者」「 作り手ー使い手」といった枠組みを壊し、世界に新たに参与しなおすことを試みる。
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全体性から立ち上がる願いをもつ
個々人の想いや在りたい姿と私たちを取り巻くシステムへの感受性を共に大事にする。内と外の世界を統合的に探索することで、自他非分離の世界から立ち上がる強度ある願いを探り、その願いからデザインを始める。